今の日本の医療って?8割の病院がコロナ患者を受入れていない

雑談

日本で、新型コロナウイルスが2020年1月頃から流行し出して以来、既に1年半が経ちました。

「さすがに日本の医療体制も整えられたのではないか」と、私と同じように錯覚・誤解している人は、多いのではないでしょうか?

先日、2歳の息子と私(臨月の妊婦)がRSウイルスに感染した際、川崎市のコールセンターに問い合わせたところ

武蔵小杉駅の周辺で発熱外来をやっている病院が個人クリニック2件しか無かったこと、妊婦向けのガイダンスが無かったことに思わず憤りを感じた!というブログを書きました(RSウイルスなめてました…家族4人やられた)。

この疑問に対して、日本の医療の現状と課題を6月27日(日)21時放送のNHK番組「パンデミック 激動の世界」が非常に分かりやすく解説してくれたので、備忘メモとしてブログに残したいと思います。

NHK番組公式サイトはこちら

※放送内容のサマリが公式サイトにアップされるまで、タイムラグがあるようです。2021年7月4日現在、この放送回のサマリは、まだ公式サイト上に上がっていません。ブログは、私が番組をリアルタイムで視聴しながら取ったメモを基に作成しています。

新型コロナ患者の受入病床は、たった4%

まずは現状から。新型コロナウイルス感染患者を受入れる病床数は、全国で約3万5000床しかありません。(参照:厚生労働省データ 2021年6月23日現在)

これは全国の病院の病床数の、わずか4%の数字です。

全国の病院の8割は、コロナ患者を受け入れていません

つまり、行政からは「発熱があったら、まずはかかりつけ医に相談を」とアナウンスされているものの、実質、8割の人はかかりつけ医から診察を断られ、失望する可能性があるということ。私も、その1人に過ぎなかったのです。

こうした実情の裏側で、「介護施設の高齢の感染者の搬送先が見つからず、亡くなってしまった

「個人病院でPCR検査を受けた患者の陽性が判明。症状の重さを鑑み、救急センターに打診したが、受け入れ先の病院が見つかるまで患者を8時間も待たせた」といった事が発生しています。

7月までには、国内の感染株はインド型の変異株(デルタ株)に置き換わるであろうと言われています。

これまでは主に高齢者や基礎疾患のある人が、感染後5〜7日で悪化するケースが目立っていましたが変異株は、30代など若い人でも3〜5日で悪化するケースが増えています

緊急事態宣言が解除され、1日あたりの感染者数が再び増加傾向にある首都圏の傾向は、間違いなく「第5波」と言って良いでしょう。

いま一度、各個人の徹底した感染防止策が必要な状況であることを再認識しました。

なぜコロナ患者の病床数が増えないのか?

これまで厚生労働省は、コロナ患者の病床数を増やすために医療機関への財政支援を打ち出して来ましたが、感染規模の実態に病床数が追いついて来ることはありませんでした。

その原因は「民間病院が多いがゆえに、政府からの指示が強制力を持たない」という日本特有の医療構造にあります。

戦後、国は「誰もが医療を受診できる」体制を目指し、民間病院を増やす働きかけをして来ました。

民間病院の普及により「平時に利用しやすい」医療体制が確立できた一方、「危機的状況になった時、必要な資源を一気に集中させる動き」が取りづらい構造となってしまったのです。

日本医師会の会長は、コロナ病床の確保が進まない現状に対し、このようにコメントしました。「どんなに新しい脅威が来たとしても、新しい治療と、これまでの医療を絶対に両立しなくてはならない。」

コロナ病床を増やすことで、その他の病気・ケガの治療が損なわれるようなことがあってはならない。それはおっしゃる通りだと思います。

しかし、これが前提になっているからこそ、病院の人手不足が、コロナ病床数を増やせない致命的な理由となってしまっています。

新型コロナウイルスの治療には、完全隔離できる環境だけでなく呼吸器の専門医が必要です。

また、新型コロナウイルス重症患者ひとりに対し、「看護師1人以上」が必要人員とされています。3人の重症患者を受け入れるだけで、看護師3〜6人が必要となってしまう訳です。

新型コロナウイルスの病床数を増やすほど、他の怪我・治療の入院受入れが難しくなる。厳しい現実が、コロナ病床を増やせないボトルネックになっていることが分かります。

こうした人手不足の解決策として、神奈川県においては、医療従事者に対する特別手当の支給や、経験の無い看護師でも看護に当たれるよう手順のマニュアル化を検討しているそうです。(この番組では、神奈川県のコロナ対策への取り組みもピックアップしていました)

早急に見直されるべき「地域医療構想」

コロナ病床数が増えない、もう一つの理由として、厚生労働省が推進してきた「地域医療構想」が新型コロナを想定しておらず、未だアップデートされていないという事があるようです。

「地域医療構想」とは、日本の人口減少を見据え、医療の効率化を目指すための動きで、その一つとして「病床数を減らす」動きが図られて来ました。

やや極端な言い方をすると「これから少子高齢化で患者も看護師も減っていくので、病床を増やすと多くの病院が経営的に共倒れするリスクがある。なので国をあげて病床数を減らしていきましょう」という方針でやって来たのです。

新型コロナを想定していなかった、この方針が今もアップデートされていないが故に、今年度、せっかく新型コロナウイルス中等患者を受け入れるためのICUを新設した、とある病院も稼働のための同意がなかなか得られず、稼働することが出来ていないそうです。

も、もったいない…。

風評被害を恐れる中小病院たち

コロナ病床数が増えない背景理由として、中小病院にとっては経営的な課題もあります。

コロナ禍で「受診控え」が発生しているため、平常時よりも中小病院の経営は圧迫されています

この状況で、更にコロナ病床を設置することで、これまで通院していたかかりつけ患者が感染を恐れ、通院を辞めてしまうことを恐れているというのです。

コロナ禍で、人々の受診行動は変わりました。NHKが行ったアンケートによると、コロナ禍で受診を控えた人は全回答者の3割にも昇ります。

前年比で、外来件数が4割ダウンした病院もあるそうです。

しかし、「受診控え」がもたらす結果は、必ずしもネガティブな要素だけではありません。

日本の医療費は、コロナ禍では大幅に減少。税金の消費額が抑えられている、という意味ではポジティブに捉えることができます。

「ただの風邪なら自力で治せることが分かり、以前よりも病院へ行かなくなった」など、ある意味、人々の受診行動が是正されている側面があるようです。

一方で、ガンの手術件数も減少しており、その背景には初期のがんが見逃されてしまうという致命的リスクもはらんでいます。

かかりつけの患者から「コロナ病床を設置するなら、もう来ない」という声が寄せられたという病院もあれば、コロナ病床を設置した中小病院で「設置当初は外来が減ったが、しばらく経って持ち直した」という事例も紹介されていました。

個人的には、人々の受診行動の変化は一時的なものに過ぎないと考えています。

ワクチン接種が進めば、人々の受診行動も戻り、日本の医療費の消費額も、また元に戻ることでしょう。コロナ病床の設置による外来件数の増減も、同じことだと思うのです。

限られた医療資源の最適化を急げ!

日本医師会が掲げる「新しい治療(新型コロナ)と従来の治療の両立」を理想の世界とするのであれば、私は、その世界は既に崩れていると感じています。

私は発熱があった時、医療機関を受診したくても、すぐに受診することができませんでした。

「受診控え」によって持病を悪化させる人が出ており、初期ガンが見過ごされている可能性があります。

コロナに感染した時、受け入れ先が見つからず、亡くなっている人がいます。

必要な時に、タイムリーに受診できる・治療が受けられる世界を再構築してほしいと切に願います。

その為には、大前提、医療崩壊を起こさない為に、人々が新型コロナウイルスの脅威をいま一度、再認識して感染防止に努める必要があるのはもちろん、

行政には、コロナ病床の更なる確保、発熱時に受診できる病院の拡充を頑張ってほしいと思います。

国民のワクチン接種が完了していない状況下で、地方自治体に無理をさせながらオリンピックの実施を推進するよりも、地域医療構想のアップデートの方が、国として優先実施すべき課題なのではないか…と、いち国民として疑問に感じています。

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